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執筆者の写真Aiki Hamakaze

漢A井氏特別寄稿「合気道との出会いと四段審査を終えて」:後編

 そうこうしているうちに、のめり込みやすい性格の私は稽古が楽しくなっていました。周りに煽てられながら、先ずは黒帯を目指そうと自分なりに研究しながら稽古に励むようになりました。すでに巷で名を轟かせていた御三家こと髙野さんを筆頭とする猛者の方々の背中を見ながら、お誘いいただいて出稽古(※1)や演武会に赴いたりもしていました。土曜日には、当時港中学校が会場だったベイサイド合気会の稽古にもよくお邪魔していました。


「滝の修行」(※イメージ)

 そしてもちろん稽古後は帰り道が決められていました。そうです、内臓の稽古です。石川町駅に程近い『養○の滝』という場所は重要なチェックポイントで、その会場へ突入するルートから逸れる選択肢が存在しなかったようでした。通称『滝の修行』と呼ばれる伝説の稽古にほぼ毎回参加し、恐ろしい勢いで生ビールが体内に消えていく様を目の当たりにしたものです。間違いなく、当て身で口を切ったときの消毒にも効果的だったはずです。現在は一部で副会長と呼ばれたりしますが、当時は一介の平会員であった私は、ただただついていくのがやっとでした。現会長F原氏に出会ったのもその頃ですが、すでに会長としての器を感じるご活躍でした。


 そのようにして数年後、前のめりで稽古に打ち込んできた私はついに初段をいただくことができました。人生初の黒帯に歓喜したものです。審査に合格した自分へのご褒美に買った道着は、現在も稽古で着ています。黒帯とともに一式が届いたときには、関先生が袴のはき方を直々に教えてくださり感激したことを覚えています。


 しかしそれからはそのままの勢いでというわけにはいかず、数年間稽古を離れてしまった時期もあったため、二段をいただくまでに10年以上を要しました。さらにその後も、頚椎からくる手の痺れに悩まされたり、新型コロナ感染症などでの仕事上の事情であったりと思うように稽古ができない時期もありました。しかしながら飛び飛びであったとはいえ、ここまで長く合気道を続けられるとは当初考えもしませんでした。これは間違いなく一緒にこの道を進み叱咤激励してくださるご道友の方々や先輩方、そしていつも変わらず熱心に指導してくださる関先生のお陰に他なりません。この場をお借りして、深くお礼申し上げます。


 私は今の浜風の稽古スタイルが好きです。関先生という太い柱を中心にして集まり、そしてその中心を見据えて、前に立って教えてくださる方々が様々なアプローチと解釈で普段の稽古をしてくださいます。そしてそれをもとに、さらにそれぞれが研究しながら稽古に取り組んでいく様子に、様々な気づきと多様性を感じます。始めた頃は若さと体力に任せてがむしゃらに、黙々と繰り返すようなスタイルで稽古をしていました。しかし今は、自分の技に稽古での気づきや教えを照らして動きを再認識しながら稽古しています。そしてさらに次の関先生の稽古で確認するという良いサイクルになるのです。それが月に3回(※2)巡ってきます。なんと贅沢なことでしょう。


 始めにも書きましたが、第61回全日本合気道演武大会の翌日の関師範稽古日に、浜風合気会を創設された方々が勢ぞろいされました。創設にお力添えくださった関先生も、同世代である御三方と稽古の合間に会話されながら、心なしか楽しそうになさっているように感じました。私が合気道を始めたばかりの頃から熱心にご指導くださり、今も私にとって目標で

関師範(中央)と御三家&F原会長 (2024年5月)

ある大先輩方が、久しぶりに同じ場に集まり楽しそうに汗を流される様子に、密かに胸が熱くなる思いでした。御三方によって作られた浜風スタイルが脈々と受け継がれてつながっていることが感じられました。そしてそのような貴重な場に立ち会う機会に恵まれたことを嬉しく思いました。私が始めたきっかけをくださり、右も左も分からない白帯の頃から私を導きご指導くださった御三方の教えは、間違いなく今の私の合気道の源流となり血肉となって技の中に息づいています。

 

 私はこうして先輩方や関先生の素晴らしい教えに薫陶を受け目指してきた自分の合気道を、これからも続く道の中で自分なりに考え続けながら深めていきたいと思っています。そして関先生と皆さんからいただいた様々なものを、少しでも周りに伝えて繋げていけるように精進していきたいと思います。心身の健康の大切さを実感する年齢に至り、このように楽しく身体を動かす環境があることは本当にありがたいなと感じています。これからも無理なく長く続けられるよう頑張りたいと思います。皆さん、刺激し合いながら楽しく稽古していきましょう!今後ともどうかよろしくお願いいたします。(A井)



※は、編集者注釈


※1 出稽古:本来は「師範が出張して徒弟に稽古をつける」ことだが、昨今では「受講者が外部道場の稽古に参加する」という、いわゆるビジター稽古を指す場合が多い


※2 浜風会員として公式に受講できる師範稽古は月3回。その他、友好道場の師範稽古にも参加できる。通常稽古の多さもさることながら、月3,000円でこんなにお得に稽古できる道場が他にあるでしょうか?(PR)

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