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10%のボヤキ (前編)

  • 執筆者の写真: Aiki Hamakaze
    Aiki Hamakaze
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

高校生になったとき、弓道部に入りたかったんです。 

なんとなくかっこいいと思って。その当時は合気道というものはよく知りませんでしたが、道着が白で袴が黒という装いは同じです。何かの因縁でしょうか。 

しかし弓道は、その作法により左手で弦を引いてはなりません。 

私は、左利きなのです。 



機会すら与えられず門前払いというのは悲しいものです。 

じゃあ右手で引けばいいじゃん~と思われるかもしれませんが、利き手の度合いというのは個人差があり、例えば左利きの人がギターを始めようとすると、楽器店のおっちゃんや周りの友人に必ず「右で弾くほうがいいよ~。安いし、友達と貸し借りできるし~」とそそのかされます。それですんなり右弾きに順応できる人もいれば、まったく無理な人もいるのです。 

私はまったくムリな口でして、右のギターをかき鳴らしている自分も、右手で弓の弦を引き絞っている自分も想像すらできませんでした。 

 

結局のところ左利きという人間は、いくつかの近代競技においてやや珍重されるくらいで、一般社会で得をすることはほぼありません。むしろストレスを感じるばかりです。最近になってようやく、幼年期に利き手を矯正するのはよろしくないということになったようですが、自販機の決済システムは必ず右側に偏っているし、改札のタッチも右側です。カメラの主な操作系は右手側に集中しているし、刃物を買ってもオマケでついてくるシースは右用。銃器の排莢システムやボルトハンドル等も右利き用に作られています。(※) 

 

もっとも許せないのは、S〇食品のラー油です。左手に持ち、親指でキャップをピンと跳ね上げ、ボタンをちょんちょん・・注ぎ口が・・左側にあるため掌を上にしたまま左に傾け、若干ムリな体勢にならないと注げません。この悲哀は、社会から祝福されたぬるま湯育ちの右利きちゃんたちには分からないでしょう。しかもそのボタンの名は、 

 


「ラク押しボタン」 


 

・・どうやらこの調味料製造を主業とする資本主義のブタは、人類の10%を存在しないものとみなしているようです。この多様性が叫ばれる時代において見事なまでのマイノリティー無視。もはや清々しささえ感じます。ええ、愛の反対は嫌悪ではありません。無関心です™。 


 

しかし左利きの健気な人々は、狭いラーメン屋に左利き専用席の設置を迫ったり、不利益に対する補償や法改正を求めてデモ行進したりしません。そう、心が広いんで♡ ラー油がちと注ぎにくいくらいで怒ったりしませんよぉ~。〇B食品の赤缶サイコー!  

 

ファミレスのスープバーで「左右どちらでも注げるオタマ」を初めて見た時の感動を胸に雄々しく生きていこうと思います。 

 

 

(何言ってんだコイツ?急展開の後編へ続く) 

 

 


(※) 近年は軍隊や法執行機関でも、遮蔽物を有効に利用、またはクリアリングするためには、銃器を左右に適宜持ち替えて使う方が有利という考えが主流であり、左右どちらでも使用できるアンビデクストラス(ambidextrous)構造の銃器が増えている 

 
 
 

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