浜風合気会では、杖(じょう)の稽古を月に二回行っています。
そして先日、有難いことにかつての兄弟道場から杖と剣を数本ずつ譲り受けました。先日の杖の稽古で初めて袋から取り出してみてびっくり。なんと九分径のぶっといヤツではあーりませんか。あ~ん、ステキ。どうりでたった七本のわりに重いと思った・・。私の細い粗末なモノは、なんとも頼りないですが、このぶっとく逞しいヤツなら名うての剣術使いも恐れおののくだろうて!(幻想)でも重くてブンブン鳴ってくれないからつまんないのよね~。
ご存知ない方のために杖について簡単に説明しますと、杖とは武器の一種で丸い木の棒です。長さは四尺二寸(約128cm)ほどで、直径はスタンダードな八分径(8/10寸:約24mm)と、より重く頑丈な九分径のものがあります。素材は樫や枇杷などの密度が高く頑丈な木です。当会には、ヒノキ製の杖を手作りして愛用している器用な方もいます。そのスベスベ感と、いい香りときたら・・クセになりそうです。ヒノキは針葉樹なので、ちょっと軽いですけどね。
富士登山の際にお土産屋で買ったり、お遍路さんが携行したりする金剛杖(こんごうづえ)とサイズ感は同じです。もっとも、金剛杖は歩行のための実用品であるため、杉などの軽い素材で作られたものが多いようです。警察署の入り口で警備をしている警官が持っているものは特に警杖と呼ばれますが同じものです。これより二尺長い「棒」や、一尺ほど短い「短杖」などもありますが、合気道で扱うのは四尺杖だけです。同じくらいの長さの手槍や短槍とは違い杖には穂先が無く、両端ともただの木の棒です。
とはいえ杖はとても面白い武器で、刀と比較してみるとその特徴は、「長い・速い・両端を使える」ということです。同じ杖(つえ)でもフランスの格闘技「サバット」における「ラ・カン」と呼ばれるステッキ術は、その片側のみを片手だけで使いますが、杖はその両端を両手で自在に入れ替えて使います。達人が手の内を柔らかく滑らせて、両端を交互に素早く繰り出す玄妙な技は、剣術家にとっても脅威だったことでしょう。事実、神道夢想流の杖術には、かの宮本武蔵をも脅かした技があると聞きます。
(下に続く)
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