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執筆者の写真Aiki Hamakaze

合気道は、構えない?

更新日:2月17日

 最近、ちょっと変わった(合気道的に)私の友人が当会の稽古にちょくちょくお邪魔しております。やたら「エイッ」っと気合をかけたり、両手を真ん中に構えたり、前足を外側に開いて置いたり・・。彼女は、養神館の合気道を学んでいる人なのです。ヘッポコなりに合気道家として思うところがあるらしく、どうぞいろいろ教えてやってください。 

 

 養神館を簡単に紹介しますと、戦後間もなくのころ、翁先生の高弟であった塩田剛三師が分派して創立されたのが養神館です。その技法には、翁先生壮年期の荒々しくダイナミックな風格が表現されており、翁先生が戦後の円熟期に岩間で工夫された型や、吉祥丸先生が重視された円転の理の影響を色濃く受けた本部系の技とはずいぶん違って見えるかもしれません。養神館の技は、精練される前のナマの鉱石だと言えるでしょう。 

 

 殊に合気会の方が不思議に思うのは、その「構え」ではないでしょうか。「合気道は構えないんだぜ。ヨウシンカンとかいう傍系の徒は、そんなことも知らねぇのか?ヤレヤレ・・」と思っているそこのアナタ!まあちょっと聞きなされ。たしかに「合気道は自然体であり、構えない」と初心のころに教わった方も多いと思います。現に合気会系の稽古では養神館のように手を上げて「構える」ことはありません。 

 

 ですが、形は違えど合気会の合気道にも構えはあります。なぜなら「自然体・構えない・手は上げない」などと規定されている時点ですでに自然ではありませんし、実際、道主監修の教本にも「構え」の項があり、構え方が詳細に記されています。 

 そもそも実戦における理想的な構えとは、「地の利・時の利を得て臨機応変・変幻自在」であり、特定の形ではありません。私のような一介の修行者は、型として規定された「相手の攻撃を誘うために、冷や汗かきながら隙だらけのフリをする後の先の構え」をとりあえず一生懸命稽古するしかないのです。 

 

養神館の構え(右)と合気会の構え(左):養神館の構えは、後ろ膝を張り6:4で前重心。合気会は上体が半身、養神館は正対となる

 養神館の構えも多分に鍛錬法であり、用法ではありません。養神館では「中心力」と呼ばれる、自分の強固な中心線から生み出される集中力が最も重視されています。自分の中心を常に意識し鍛錬するために、その基本型では手は中心に置き、肩・腰は相手に正対させるのです。養神館の基本技の型は、鍛錬法としての性格が強い「固い稽古」であり、その次の段階である流れやスピードを学ぶための練習法としての自由技の稽古があります。基本技の型と、自由技での技の形にあまり差がない合気会系の稽古方法とはちょっと違うところです。 

 あ、申し遅れました(赤川次郎風)。私は合気道に興味を持ったきっかけが塩田剛三先生で最初に習ったのも養神館。つい最近までそちらの稽古にも出入りしていたものですから養神館に関しては、ちとウルサイのです。 

 

 私は、恐れながら関師範は、養神館の合気道を研究されたことがあるんじゃないかと疑っています(笑)。なぜなら、例えば片手取りの受けの場合、「接点は中心線に置く・体を相手に正対させる・そのために反対の手も前に出し中心に置く・相手の中心に向かってグッ(Gue!)と攻める」するとアラ不思議、養神館の構えにソックリではあーりませんか!?関師範が仰るんですから、浜風の皆さんも一度、足も撞木に開いて後ろ足を張り、養神館チックに構えてみますか?意外とクセになるかもしれませんよ。(Z) 

  

撞木足:前後の足を縦に揃え、ともに外に開く。古流の剣術や柔術にも足を撞木に使う流派は多い

 


閲覧数:203回3件のコメント

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3 Comments


Koji Namiki
Koji Namiki
Feb 16

足を外に向けるのは武道として極々普通で、内になってしまうときには注意されたものです。 最近は違うのかな?

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Koji Namiki
Koji Namiki
Feb 20
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自分の感じているところなんですが、力というか気というか、足と足の間の力の向きだと思うんですよね。丹田から相手に向かって「自分の正中線で相手の正中線を征(崩)す」というのが実感できるというか。 達人の域に達すれば気にしないことなのでしょうけど、修行中の身として教わったことがこういう感じなんだ!って思えたので。 いろいろ試すのもいいかもしれませんね。ただ、夢中になってお稽古していると試す余裕はないのですが。

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